時計用語集
振り角やベゼルからトゥールビヨン、vphまで、79の時計用語をやさしい言葉で解説。スペック表を読むにも、コレクターと語り合うにも役立つ用語集です。
時計好きには、独特の語彙があります。スペック表には「vph」や「石数」、コレクターの会話には「グレイル」「夜光」「ハック」。この用語集では、とくによく使われる79の用語を、やさしい言葉で解説します。各用語には英語の原語を添え、英語のアルファベット順に並べています。より詳しいガイドがある項目には、リンクを張っています。
まったくの初心者なら、まず時計の各部名称と機械式時計の仕組みから始めて、そのあと辞書代わりにここへ戻ってきてください。
A–B
- 振り角(Amplitude)
- テンプが1回の振動でどれだけ振れるかを、角度で表したもの。健康な時計なら、たいてい200°を大きく超えます。振り角が小さいときは、巻き上げ不足か、オーバーホールが必要なサインかもしれません。
- アプライドインデックス(Applied indices)
- 印刷ではなく、別体の金属パーツとして作り、小さな足で文字盤に固定したインデックス。「植字」とも呼ばれます。光を捉え、立体感を生みます。
- 自動巻き(Automatic)
- 腕の動きで回るローターを使って、ひとりでに巻き上がる機械式ムーブメント。オートマチック、セルフワインディングとも。自動巻きと手巻きの違いを参照。
- テンプ(Balance wheel)
- 一定の周期で往復する、錘のついた輪。機械式時計の精度をつかさどる心臓部です。
- ヒゲゼンマイ(Balance spring / hairspring)
- テンプに取り付けられた細い渦巻きバネ。テンプを規則正しい周期で振動させます。
- 香箱(Barrel)
- ゼンマイを収めるドラム。ゼンマイがほどけるにつれて、その歯が輪列を動かします。
- 振動数(Beat rate)
- テンプが1時間に何回刻むかを、vphやbphで表したもの。28,800 vphは、毎秒8振動にあたります。振動数の解説を参照。
- ベゼル(Bezel)
- 風防を囲むリング。装飾的なもの(ポリッシュ、フルーテッド、ジェムセット)と、機能的なもの(回転式のダイバーズ目盛りやGMT目盛り)があります。
- ブルースチール(Blued steel)
- 約290℃に熱して、薄い酸化膜で深い青色に変えた鋼。「青焼き」とも呼ばれます。針やネジの古典的な仕上げです。
- bph
- beats per hour(毎時ビート数)。vphの別の書き方です。
- ブレゲ針(Breguet hands)
- 先端近くに中抜きの円(「月」)をあしらった針。アブラアン-ルイ・ブレゲにちなんだ名前です。針の種類を参照。
- 受け(Bridge)
- ネジで留められ、ムーブメントの歯車を1つまたは複数支える金属の板。ブリッジとも。
C–D
- キャリバー(Calibre / caliber)
- 特定のムーブメントの設計。たいてい番号で識別されます。
- カリフォルニアダイヤル(California dial)
- 上半分にローマ数字、下半分にアラビア数字を配した文字盤。インデックスと数字を参照。
- 裏蓋(Caseback)
- ケースの裏側のカバー。シースルーバックは、ムーブメントが見えるように風防をはめ込んだ裏蓋です。
- クロノグラフ(Chronograph)
- ストップウォッチ機能を内蔵した時計。プッシャーでスタートとストップを行います。
- クロノメーター(Chronometer)
- 公的な機関によって、ムーブメントの精度が検査・認定された時計。
- コンプリケーション(Complication)
- 時・分・秒以外の機能のすべて。日付、ムーンフェイズ、GMTなど。コンプリケーションを参照。
- リューズ(Crown)
- ケースの側面にあるつまみ。ゼンマイを巻き上げ、時刻を合わせるのに使います。竜頭とも書きます。
- 風防(Crystal)
- 文字盤を覆う透明なカバー。サファイア、ミネラルガラス、アクリルがあります。
- クッションケース(Cushion case)
- 角を柔らかく丸めた四角いケース。1930年代から人気があります。ケース形状を参照。
- ドーフィン針(Dauphine hands)
- 先細りで、中央に稜線のある面取りを施した針。どちらかの面が必ず光を捉えます。
- デイデイト(Day-date)
- 曜日と日付の両方を表示するコンプリケーション。
- ひと刻み(Detent)
- 巻き上げるときにリューズのコハゼが鳴らす、カチッという1回ぶん。
- 文字盤(Dial)
- インデックスや文字を載せた、時計の顔。ダイヤルとも。
- ダイバーズベゼル(Dive bezel)
- 潜水時間を計るための、一方向にしか回らないベゼル。ぶつけても表示される残り時間が短くなるだけで、長くなることはありません。
E–G
- エナメル文字盤(Enamel dial)
- ガラスの粉を載せ、窯で焼き上げた文字盤。グラン・フー・エナメルは800℃以上で焼成します。文字盤の仕上げを参照。
- 脱進機(Escapement)
- 輪列を1刻みずつ解放し、テンプが振れるたびに一押しを与える機構(ガンギ車とアンクル)。
- フィールドウォッチ(Field watch)
- シンプルで読みやすく、頑丈なスタイル。第一次世界大戦の塹壕で使われた時計の流れをくみます。
- フルーテッドベゼル(Fluted bezel)
- 周囲に細かな刻みを入れたベゼル。時計が動くたびにきらめきます。
- フュメ文字盤(Fumé dial)
- 外周へ向かって暗くなっていく、「燻した」ような文字盤。スモークダイヤルとも。
- パッキン(Gasket)
- 水やホコリがケースに入るのを防ぐゴム製のシール。ガスケットとも。
- 輪列(Gear train)
- 香箱から脱進機へエネルギーを運ぶ、一連の歯車。
- ジェムセット(Gem-set)
- 宝石をあしらったもの。石はひとつずつ石座に収め、小さな金属の粒で留めます。
- GMT
- 24時間針で第2のタイムゾーンを表示するコンプリケーション。GMTウォッチを参照。
- グレイル(Grail)
- コレクターにとっての究極の夢の時計。憧れの1本。グレイルウォッチとはを参照。
- ギョーシェ(Guilloché)
- ローズエンジン旋盤で、繰り返し模様を彫り込んだ文字盤。
H–L
- ハック機能(Hacking seconds)
- リューズを引き出すと秒針が止まり、時刻を正確に合わせられる機能。秒針停止機能とも。機械式時計の時刻の合わせ方を参照。
- 手巻き(Hand-wound / manual)
- リューズを回して巻き上げる機械式ムーブメント。時計の巻き方を参照。
- インデックス(Indices)
- 文字盤の上の時の目印。バトン、数字、ドットなど。
- 石(Jewels)
- ホゾの軸受けとして使われる、摩擦の少ない人工ルビー。一般的なムーブメントは17〜25石です。
- ラグ(Lug)
- ストラップを取り付ける、ケースの「角」。
- ラグ幅(Lug width)
- ラグの間の幅。ストラップの幅を決めます。18、20、22mmが多く使われます。
- ラグ・トゥ・ラグ(Lug-to-lug)
- 上側のラグの先端から、下側のラグの先端までの長さ。時計のフィット感を左右する重要な寸法です。
- 夜光(Lume)
- 針やインデックスに塗られ、暗闇で光る蓄光塗料。英語圏のコレクターは「ルーム」と呼びます。
M–O
- ゼンマイ(Mainspring)
- 渦巻き状の金属の帯。巻くとエネルギーを蓄え、ゆっくり解放しながら時計を動かします。主ゼンマイとも。
- マニュファクチュール(Manufacture)
- ムーブメントを自社で設計・製造する時計メーカー。
- ベンツ針(Mercedes hand)
- 先端近くに三つ又の円をあしらった時針。ダイバーズによく見られます。海外では「メルセデスハンド」と呼ばれます。
- マイクロブランド(Microbrand)
- 小規模な独立系の時計ブランド。オンラインで直接販売することが多い業態です。
- ミラネーゼブレス(Milanese strap)
- 細いスチールのメッシュを編んだブレスレット。
- ミニッツトラック(Minute track)
- 文字盤の外周を囲む分目盛り。レイルウェイトラックは、線路のように見えるタイプです。
- ムーンフェイズ(Moon phase)
- 現在の月の満ち欠けを表示するコンプリケーション。ムーンフェイズを参照。
- マザーオブパール(Mother of pearl)
- 虹色に輝く貝殻の内側の層。薄く切り出して文字盤に使います。
- ムーブメント(Movement)
- 針を動かす内部の機構。
- オクタゴンケース(Octagon case)
- 八角形のケース。すべての面を隣の面とぴったり合わせなければならないため、仕上げが難しい形です。
P–R
- アンクル(Pallet fork)
- 脱進機の中で、ガンギ車を止めては解放するレバー。
- パイロットウォッチ(Pilot watch)
- 大きなリューズ、力強い数字、高い視認性を備えたスタイル。航空の黎明期に生まれました。
- プロンジュール(Plongeur)
- フランス語で「ダイバー」。分針を特大にしたスタイルです。
- パワーリザーブ(Power reserve)
- フルに巻き上げた時計が、止まるまでに動き続ける時間。残量を表示するコンプリケーションのことも指します。パワーリザーブの解説を参照。
- PVD
- 物理蒸着(physical vapour deposition)。厚さ数ミクロンのコーティングで、ブラックの時計を作るのに使われます。ケース素材を参照。
- 日付早送り(Quickset date)
- 針をぐるぐる回さずに、日付だけを直接変えられるリューズのポジション。クイックチェンジとも。
- 歩度調整(Regulation)
- 進みや遅れができるだけ小さくなるよう、ムーブメントを調整すること。
- ローズエンジン(Rose engine)
- ギョーシェ模様を彫るのに使う、手回しの旋盤。
- ローター(Rotor)
- 自動巻きの中にある半月形の錘。あなたの動きで回り、ゼンマイを巻き上げます。
S–T
- サファイアクリスタル(Sapphire crystal)
- 人工サファイア。きわめて傷に強い風防です。
- ねじ込み式リューズ(Screw-down crown)
- ケースのパイプにねじ込んで、防水性を高めるリューズ。
- スケルトン(Skeleton)
- 機構が見えるように肉抜きした文字盤やムーブメント。中央をくり抜いた針のスタイルも指します。
- スモールセコンド(Small seconds)
- 中央ではなくサブダイヤルに置かれた秒針。たいてい6時または9時位置にあります。
- サンバースト(Sunburst)
- 中心から外側へ筋目を入れ、光が放射状に広がる文字盤仕上げ。サンレイとも。
- スイープ運針(Sweep)
- センターセコンドの秒針の動き。振動数が高いほど、滑らかな運針になります。
- シリンジ針(Syringe hands)
- 注射器のような形の針。ヴィンテージの懐中時計やパイロットウォッチによく見られます。
- タンクケース(Tank case)
- 1917年にさかのぼる、角型のケーススタイル。
- トノー(Tonneau)
- 側面が外へふくらんだ、樽型のケース。
- トゥールビヨン(Tourbillon)
- 脱進機を収めて回転するキャリッジ。姿勢差による誤差を平均化するために考案されました。
U–Z
- 逆回転防止ベゼル(Unidirectional bezel)
- 一方向にしか回らないベゼル。ダイバーズウォッチの標準装備です。
- vph
- vibrations per hour(毎時振動数)。18,000 vph = 毎秒5振動、21,600 = 6振動、28,800 = 8振動。
- 防水性能(Water resistance)
- 時計がどれだけの水圧に耐えられるかを示す等級。たいていメートルか気圧(bar)で表します。その深さまで潜れるという保証ではありません。
- 巻真(Winding stem)
- リューズとムーブメントをつなぐ軸。
- ワインディングマシーン(Winder)
- 着けていない自動巻きの時計を回転させ、動かし続けるモーターつきの箱。ウォッチワインダーとも。
時計を作りながら言葉を覚える
時計の語彙を覚えるいちばんの近道は、使ってみることです。Mecha Watchなら、iPhoneでケース、ベゼル、文字盤の仕上げ、インデックス、針、ムーブメント、コンプリケーションを選べます。選ぶたびに、短い「豆知識」がそのパーツを解説します。そのあと、あなたの時計はムーブメント本来の振動数で時を刻み、あなたはそれをひと刻みずつ巻き上げます。名前を英語で早口に言ってみてください。Mecha Watch。それはmake a watch(時計を作ろう)という誘いです。
よくある質問
時計のvphとは何ですか?
vibrations per hour(毎時振動数)の略で、テンプが1時間に何回刻むかを表します。28,800 vphは、毎秒8振動という意味です。
時計の「石」とは何ですか?
可動部品の軸受けとして使われる小さな人工ルビーで、摩擦と摩耗を減らします。一般的な機械式ムーブメントには、17〜25個使われています。
時計のコンプリケーションとは何ですか?
時・分・秒を示す以外の機能のすべてです。たとえば日付、ムーンフェイズ、GMT針、クロノグラフなど。