時計の文字盤仕上げを解説
サンバースト、リネン、エナメル、ギョーシェ、マザーオブパール、フュメ。それぞれの文字盤仕上げの特徴と作り方、仕上げとカラーの選び方を解説します。
文字盤は、時計の中で1日に何百回も目にする部分です。そして文字盤に命を吹き込むのが、仕上げです。同じブルーの文字盤でも、まるで違って見えることがあります。一方は平坦で静か、もう一方は手首を動かすたびに光がきらめきます。
時計を作るなら、文字盤の仕上げ選びは、とりわけ満足度の高い選択のひとつです。それぞれがどう作られ、どんな効果を生むのかを見ていきましょう。
6つの仕上げ早見表
| 仕上げ | 作り方 | 見え方 | 印象 |
|---|---|---|---|
| サンバースト | 中心から放射状に細かな筋目を入れる | 傾けると、光が文字盤の上を駆けめぐる | 生き生きとして、モダン |
| リネン | 細かな格子模様を型押しする | 織物のような控えめな質感 | くつろいだ、手触りのある |
| エナメル | ガラスの粉を窯で焼き上げる | 深く、艶やかで、完璧に均一 | フォーマルで、時代を超える |
| ギョーシェ | ローズエンジンで繰り返し模様を彫る | 光と戯れる、精緻な幾何学模様 | クラシックで、贅沢 |
| マザーオブパール | 貝殻の内側の層を薄く切り出す | 虹色に輝き、1枚ごとに違う | 繊細で、宝石のよう |
| フュメ | 外周へ向かって色を暗くぼかす | 輝く中心が、影へと溶けていく | ドラマティックで、現代的 |
サンバースト
サンバースト文字盤は、中心から外側へ、何千本もの細かな放射状の筋目を入れたものです。日本では「サンレイ仕上げ」とも呼ばれます。筋目の1本1本がわずかに違う角度で光を反射するので、手首を傾けると、明るい帯が時計の針のように文字盤の上を駆けめぐります。色も変化します。ブルーのサンバーストは、日陰ではほとんど黒に、日差しの下では鮮烈な青に見えます。
サンバーストが現代の時計でいちばん人気の仕上げなのには、もっともな理由があります。どんな色にも、うるさくならずに生気を与えるのです。ブルー、グリーン、グレーととくに相性がよく、仕上げに主役を任せられるシンプルなバトンインデックスがよく合います。
リネン
リネン文字盤は、織物を模した細かな格子模様を型押ししたものです。近くで見ると質感がわかり、離れて見ると、反射のない柔らかなマットカラーに見えます。そのため、読みやすさが大切なフィールドウォッチやパイロットウォッチ、そしてヴィンテージ調のデザインに最適です。
リネンは、静かに万能です。クリームのリネン文字盤は温かくレトロに、ブラックなら道具らしく見えます。
エナメル
本物のグラン・フー・エナメルは、金属の下地にガラスの粉を載せ、800℃以上で焼き上げる工程を何層も重ねたものです。窯の中でひびが1本入れば、その文字盤は廃棄。本物のエナメル文字盤が高価なのは、そのためです。それだけの価値はあります。深く艶やかな表面は色あせず、100年後も同じ姿を保ちます。
エナメルといえば、伝統的にはホワイトかクリームの地に黒のローマ数字。19世紀の懐中時計そのままの姿です。けれども、大胆な色も人気が高まっています。ラッカー文字盤は、わずかなコストでその見た目を再現しますが、エナメルの奥行きには及びません。
ギョーシェ
ギョーシェは、ローズエンジンで文字盤に彫り込む模様です。ローズエンジンは、1700年代に設計された手回しの旋盤。機械が文字盤を揺らしながら回転させ、彫り師が刃を導いて、波模様、バスケット織り、放射模様、あるいはクル・ド・パリと呼ばれる細かな格子(ピラミッド模様)を刻んでいきます。その上に半透明のラッカーやエナメルを重ねて、模様を透かして輝かせることもあります。
本物の手彫りギョーシェは希少で高価です。型押しの文字盤なら、その模様を量産できます。いずれにせよ、ギョーシェは古典的なドレスウォッチの仕上げ。ゴールドのケース、ローマ数字、ブルースチールのブレゲ針を思い浮かべてください。
マザーオブパール
マザーオブパール(白蝶貝などの真珠母貝。「MOP」や「シェル文字盤」とも呼ばれます)は、貝殻の内側の層を切り出し、ごく薄い円盤に磨き上げたものです。層状の構造が光を分けて、揺らめく色を生みます。天然素材なので、同じ輝きの文字盤は二つとありません。ホワイトのマザーオブパールは柔らかく明るく、濃い色の貝は、スモーキーな孔雀色の色調になります。
似合うのは、小ぶりで宝飾品のような時計。プチ、オーバル、タンク、ジェムセットのケースです。素材が主役であり続けるよう、インデックスは最小限にするのがいちばんです。
フュメ
フュメ(fumé)は、フランス語で「燻した」という意味です。スモークダイヤルやグラデーションダイヤルとも呼ばれます。フュメ文字盤は、炎にかざしたガラスのように外周へ向かって暗くなっていくので、中心が光っているように見えます。たいていサンバーストと組み合わされ、光が動くとグラデーションがきらめきます。
フュメは、多くの独立系ブランドのトレードマークになりました。グリーン、ブルー、バーガンディでとくに印象的で、表示をごく少なくすると、いちばん美しく見えます。まったく表示を置かないこともあります。
文字盤カラーの選び方
仕上げとカラーは、一緒に働きます。ほぼ外れのない組み合わせをいくつか挙げましょう。
- ミッドナイトブルーのサンバースト — 現代の定番。どんな金属にも合います。
- オニキスブラック — 読みやすさは最高。ダイバーズ、パイロット、リネン文字盤に理想的です。
- シルバーまたはクリーム — ドレスウォッチの基本。クリームは、ゴールドの隣で温かくヴィンテージな表情になります。
- フォレストグリーンまたはエメラルドグリーン — いま旬の色。フュメやサンバーストで美しく映えます。
- サーモン — コレクターのお気に入り。スチールとブルースチールの針で際立ちます。
- バーガンディ — 豊かで、意外性のある色。フュメにすると見事です。
- アイスブルー — クールで贅沢。スチールやプラチナ調のケースでとくに映えます。
- ブラッシュとラベンダー — 柔らかくモダン。ローズゴールドと好相性です。
- スレート — 洗練されたグレー。チタンとよく合います。
色は、ケースの金属に合わせましょう。イエローゴールドやローズゴールドのような温かみのある金属には、クリーム、サーモン、グリーン。スチールやチタンのようなクールな金属には、ブルー、ブラック、シルバー、アイスブルー。金属について詳しくは、時計のケース素材をご覧ください。
インデックスも忘れずに
質感のある文字盤は、すぐにうるさくなります。文字盤の模様が多いほど(ギョーシェ、マザーオブパール)、インデックスはシンプルにするべきです。平坦な、あるいは質感の穏やかな文字盤(エナメル、リネン)なら、大胆な数字やレイルウェイのミニッツトラックを載せても、ごちゃごちゃして見えません。
Mecha Watchで文字盤をデザインする
文字盤の仕上げは、光がすべてです。そして光こそ、写真が平板にしてしまうものです。Mecha Watchでは、文字盤がリアルタイムで描画されます。iPhoneを傾けると、サンバーストはきらめき、フュメは光を放ち、マザーオブパールは揺らめきます。選べる仕上げは6種類。サンバースト、リネン、エナメルは無料で、ギョーシェ、マザーオブパール、フュメは一度きりのAtelierアンロックに含まれます。カラーは12色。ミッドナイトブルー、オニキス、シルバー、クリーム、フォレスト、サーモン、バーガンディ、アイスブルー、ブラッシュ、ラベンダー、エメラルド、スレートです。
サーモンのサンバーストとサーモンのリネンを並べてみれば、仕上げがカラーと同じくらい大切な理由がわかります。そのあとは、あなたの名前を入れましょう。Mecha Watch。英語で早口に言えば、それがいまやっていることです。make a watch(時計を作る)。
よくある質問
サンバースト文字盤とは何ですか?
中心から放射状に細かな筋目を入れた文字盤です。筋目がさまざまな角度で光を捉えるので、時計を傾けると、明るい帯が文字盤の上を駆けめぐります。
ギョーシェ文字盤とは何ですか?
1700年代に設計された手回しの旋盤、ローズエンジンを使って、繰り返し模様を彫り込んだ文字盤です。現代のギョーシェ文字盤の多くは、型押しでその見た目を再現しています。
フュメダイヤルとは何ですか?
「フュメ」は「燻した」という意味です。文字盤の色が、炎にかざしたガラスのように外周へ向かって暗くなり、中心が光っているように見えます。
エナメル文字盤が高価なのはなぜですか?
グラン・フー・エナメルは、ガラスの粉を800℃以上で何層にも焼き重ねて作ります。窯の中でひびや気泡がひとつでも入れば文字盤は台無しになるので、完璧な1枚ができるまでに、多くが廃棄されます。
マザーオブパールの文字盤は、1枚ずつ違うのですか?
はい。マザーオブパールは貝殻の内側から採れる天然素材なので、まったく同じ模様や輝きを持つ文字盤は二つとありません。
いちばん人気のある文字盤の色は?
ブラック、ブルー、シルバー/ホワイトが今もいちばん一般的で、なかでもブルーのサンバーストは現代を代表する人気色です。グリーンとサーモンの文字盤も、ここ数年で急速に人気を伸ばしています。