時計のケース素材:スチール、チタン、ゴールドほか
ステンレススチール、チタン、18金、ブラックPVD、セラミック、ブロンズ、プラチナを比較。見た目、着け心地、傷のつき方、経年変化を素材ごとに解説します。
このガイドの内容
形も文字盤もまったく同じ2本の時計でも、一方がスチールで、もう一方がゴールドなら、まるで別のものに感じられます。ケースの素材は、時計の重さの感じ方、光の捉え方、傷のつき方、年の取り方を決めます。もちろん、価格もです。
自分の時計を作る前に、代表的な素材それぞれについて知っておきたいことをまとめました。
ひと目でわかる比較表
| 素材 | 重さ | 見た目 | 傷 | 向いている時計 |
|---|---|---|---|---|
| 316Lスチール | 中くらい | 明るくクールなグレー。鏡面まで磨ける | ほどほどにつく。再仕上げしやすい | すべて |
| チタン | スチールより約40%軽い | やや暗く、温かみのあるグレー | グレード2は傷つきやすい。グレード5はより硬い | スポーツ、ダイバーズ、大きなケース |
| 18金イエローゴールド | 重い | 温かく豊かなイエロー | 柔らかく、跡がつきやすい | ドレスウォッチ |
| 18金ローズゴールド | 重い | ピンクがかった温かい色 | 柔らかい | ドレスウォッチ、ジュエリーウォッチ |
| ブラックPVD | 下地の金属と同じ | マットまたはサテンのブラック | 角の部分でコーティングが摩耗することがある | ツールウォッチ、パイロットウォッチ |
| セラミック | 軽い | 深みのある色。光沢またはマット | ほとんど傷がつかないが、割れることがある | ベゼル、現代的なスポーツウォッチ |
| ブロンズ | やや重い | 1本ごとに違う経年変化(パティーナ)が出る | 傷はパティーナになじむ | ヴィンテージ調のダイバーズ、フィールドウォッチ |
| プラチナ | 非常に重い | クールで白く、控えめ | 柔らかいが、金属は削れずに寄るだけ | ハイエンドのドレスウォッチ |
ステンレススチール(316L)
あなたが手にする時計のほとんどは、316Lステンレススチールでできています。手術器具と同じ合金で、錆びにくく、肌にもやさしいことから選ばれています。丈夫で手頃、そして、まったく異なる2つの仕上げを簡単に施せます。
- ポリッシュ(鏡面) — まわりのものをすべて映し込む、鏡のような輝き。
- ヘアライン(サテン) — 細かな平行の筋目が、柔らかくマットな光沢を生み、小傷を目立たなくします。
良いケースは、両方を組み合わせます。上面はヘアライン、面取り部分はポリッシュ。時計を動かすと、稜線がきらりと光ります。スチールは毎日の使用で傷がつきますが、時計師の手で再仕上げすれば、新品のように戻せます。どこから始めればいいか迷ったら、ここから始めましょう。スチールは、どんなケース形状、文字盤、ストラップにも合います。
チタン
チタンはスチールより約40%軽く、大きなダイバーズやパイロットウォッチでは、その差がすぐにわかります。肌の温度にも早くなじむので、着けたときのひんやり感が少なく、耐食性もきわめて高く、アレルギーを起こしにくい素材です。
耳にするグレードは2つあります。
- グレード2(純チタン) — 軽くて錆びませんが、柔らかく、スチールより傷がつきやすい素材です。
- グレード5(アルミニウムとバナジウムを加えた合金) — はっきりと硬く、磨きの仕上がりも上です。
チタンは、スチールよりやや暗く、グレーがかった色合いです。落ち着いた光沢が似合うツールウォッチには、自然にはまります。
ゴールド:イエロー、ローズ、ホワイト
時計に使われるゴールドは、ほぼ例外なく18金(K18)。75%が純金という意味です。純金だけでは柔らかすぎて使えません。すぐに傷がついてしまいます。残りの25%は金属の配合で、これが硬さと色の両方を決めます。
- イエローゴールド — 金に銀と銅を加えたもの。フォーマルなドレスウォッチの、クラシックで温かい色です。
- ローズゴールド — 銅を多めに配合することで、あの赤みが生まれます。ほとんどの肌の色になじみ、クリーム、シルバー、チョコレートの文字盤と美しく調和します。
- ホワイトゴールド — 金にパラジウムなどの白い金属を加えた合金で、輝きを増すために、たいていロジウムメッキが施されます。部屋の向こうからはスチールに見えますが、手に取るとずっと重いのがわかります。
ゴールドは重く柔らかいので、ゴールドの時計には、時とともに小さな打ち傷がついていきます。多くのコレクターは、それを味と考えます。ゴールドは、ドレスケース、ローマ数字、ブルースチールのブレゲ針、レザーストラップと自然に合います。
ブラックPVDとDLC
PVDは、物理蒸着(physical vapour deposition)の略です。厚さわずか数ミクロンのコーティングで、真空チャンバーの中でスチールに蒸着させ、ケースを精悍なブラックに仕上げます。DLC(ダイヤモンドライクカーボン)は同系統のコーティングで、たいていさらに硬くなります。
魅力は明らかです。ブラックのケースは、モダンで、控えめで、テクニカルに見えます。パイロットウォッチやツールウォッチに似合うのはそのためです。難点は、何年も使ううちに、鋭い角やクラスプの部分でコーティングが摩耗し、下のスチールが見えてくることがある点です。しかも無垢のスチールと違って、磨いて元に戻すことはできません。
セラミック
セラミック(一般には酸化ジルコニウム)はきわめて硬く、日常の使用で傷をつけるのはほぼ不可能です。色あせることもありません。現在、多くのダイバーズベゼルがセラミック製なのは、そのためです。代償は、もろさ。タイルの床に強く落とすと、スチールならへこむだけのところで、割れることがあります。フルセラミックのケースは軽く、触れると温かみがあります。
ブロンズ
ブロンズは、海と縁の深い銅合金です。ここに挙げたほかの素材と違い、着けるうちに色が変わっていきます。肌、気候、習慣によって形づくられる、茶色から緑がかったパティーナ(経年変化)が現れるのです。同じように年を取るブロンズウォッチは、2本とありません。ブロンズが肌に直接触れないよう、裏蓋はたいていスチールかチタンで作られます。
プラチナ
プラチナは、静かな贅沢の金属です。ゴールドより重く、スチールより白く、きわめて希少。時計用のプラチナは、たいてい純度95%(Pt950)です。柔らかい素材ですが、傷がついても金属は削り取られず、脇へ寄るだけなので、ゆっくりと柔らかなパティーナへと変わっていきます。スチールにとてもよく似ているため、プラチナの時計には、色つきの文字盤やケースに埋め込んだ宝石など、小さな目印がつけられることがよくあります。
素材の選び方
- 毎日着ける、どんなスタイルにも:スチール。
- 大きな時計を、軽く着けたい:チタン。
- フォーマルで、温かく、受け継いでいける1本:イエローゴールドかローズゴールド。
- 精悍で、テクニカル:ブラックPVDかDLC。
- 時とともに自分の物語を刻む時計:ブロンズ。
素材は、文字盤とも合っていなければなりません。ゴールドやブロンズのような温かみのある金属には、クリーム、サーモン、グリーンの文字盤がよく似合います。スチールやチタンのようなクールな金属には、ブルー、ブラック、シルバー、アイスブルーが合います。この組み合わせのもう半分は、文字盤の仕上げガイドで取り上げています。
Mecha Watchですべての素材を試す
金属は、写真では判断しにくいものです。光をどう捉えるかで、印象が大きく変わるからです。Mecha Watchは、ケースをリアルタイムで描画します。iPhoneを傾けると、ポリッシュ仕上げのスチール、チタン、イエローゴールド、ローズゴールド、ブラックPVDが、手首の上と同じように、光に合わせて表情を変えます。
スチールとチタンは無料で使えます。ゴールドとPVDは、一度きりのMecha Atelierアンロックに含まれます。同じ時計を3つの素材で作ってみると、素材がどれほど時計を変えるかがわかります。本物を買う前に、自分が欲しいものがはっきりするはずです。Mecha Watch。英語で早口に言えば、もう半分make a watch(時計を作る)と言っているようなものです。
よくある質問
時計はチタンとステンレス、どちらがいいですか?
どちらかが一方的に優れているわけではありません。チタンは約40%軽く、肌になじみやすく、アレルギーも起こしにくい素材ですが、柔らかいグレードは傷がつきやすくなります。スチールは重めですが、より明るく磨き上がり、再仕上げもしやすい素材です。
時計の316Lとは何ですか?
316Lは、炭素含有量の少ないステンレススチールの規格です。錆びにくく、肌にやさしいため、手術器具にも使われています。
18金の時計には、金がどのくらい含まれていますか?
75%です。残りの25%は銀、銅、パラジウムなどの金属で、金を硬くし、色を決めています。
PVDコーティングは剥がれますか?
ゆっくりとですが、摩耗することはあります。PVDは厚さ数ミクロンしかないので、鋭い角やクラスプでは、毎日使って数年たつと下地が見えてくることがあります。DLCコーティングはたいていさらに硬く、摩耗もゆっくりです。
ローズゴールドがピンク色に見えるのはなぜですか?
ローズゴールドは、イエローゴールドより銅を多く含んでいます。その銅が、温かくピンクがかった赤みを与えています。
セラミックの時計は傷がつきますか?
ふつうに使っているかぎり、ほとんどつきません。セラミックはスチールよりはるかに硬い素材です。ただし、もろいので、強い衝撃で欠けたり割れたりすることがあります。