自動巻きと手巻きの違い
自動巻きは腕の動きで巻き上がり、手巻きは毎日リューズを巻きます。厚み、巻く楽しみ、価格、信頼性を比べて、自分に合うムーブメントを選びましょう。
このガイドの内容
機械式時計はどれも、渦巻き状のゼンマイで動いています。違いは、誰がそれを巻くのかだけ。自分の指で巻くのか、日々の暮らしの中で手首が巻いてくれるのか。手巻きか自動巻きかというこのたったひとつの違いが、時計の厚みも、持つ楽しみも、文字盤の見え方さえも変えてしまいます。
どちらが優れているということはありません。時計との付き合い方が2通りあるだけです。選び方を見ていきましょう。
結論から
- 自動巻き(オートマチック):錘のついたローターが、腕の動きでゼンマイを巻き上げます。毎日着けていれば、ひとりでに動き続けます。
- 手巻き(マニュアル):リューズを自分で回します。たいていは1日1回。ローターがないぶんムーブメントは薄く、シースルーバックなら全体を眺められます。
着けたらあとは忘れていたい、という方には自動巻きを。儀式が好きな方、あるいはごく薄いドレスウォッチが欲しい方には手巻きをおすすめします。
自動巻きと手巻きの比較表
| 自動巻き | 手巻き | |
|---|---|---|
| 巻き上げ方 | 腕の動きでローターが回り、ゼンマイを巻き上げる | リューズを自分で回す |
| 毎日の手間 | 着けていればなし。外していたら少し巻き足す | 30〜40秒ほど巻く |
| 厚み | 厚め。ローターのぶん高さが出る | 薄め。ドレスウォッチに最適 |
| 裏蓋からの眺め | ローターがムーブメントの一部を隠す | 受け、歯車、テンプまですべて見える |
| 巻き忘れたら | 着けている間は動き続ける | パワーリザーブが尽きると止まる |
| 巻きすぎ | 起こらない。スリッピングアタッチメントがゼンマイを守る | 巻き切るとはっきりした巻き止まりを感じる |
| 部品点数 | 多い。巻き上げ用の歯車、ローター、切替車など | 少なく、オーバーホールもしやすい |
| 一般的な石数 | 21〜25石 | 17石 |
自動巻きが巻き上がる仕組み
自動巻きムーブメントは、手巻きムーブメントの上にモジュールをひとつ追加したものです。ローターと呼ばれる半月形の錘が、中心のベアリングを軸に自由に回転します。手首が動くたびに重力でローターが振れ、切替車がその振れを、どちら向きの回転であっても巻き上げの力に変えます。
ローターは放っておけばいつまでも巻き続けてしまうので、自動巻きのゼンマイは外端が固定されていません。代わりにスリッピングアタッチメントという部品が付いていて、巻き切ったあとはゼンマイが香箱の内壁を滑るようになっています。自動巻きで巻きすぎが起こらないのは、このためです。
自動巻きの時計は、手で巻くこともできます。ほとんどのモデルで、リューズを回して最初の勢いをつけられます。数日外していたなら、腕に着ける前に20〜30回ほど巻いてあげましょう。詳しくは機械式時計の巻き方をご覧ください。
手巻き時計が薄い理由
ローターがなければ、手巻きムーブメントは驚くほど薄く作れます。シャツの袖口にすっと収まるような昔ながらのドレスウォッチに手巻きが多いのは、そのためです。超薄型ムーブメントの中には、厚さ2mmほどしかないものもあります。
見た目の楽しみがもうひとつ。手巻き時計を裏返すと、視界を遮るものが何もありません。受けも、輪列も、せわしなく振動するテンプも見えます。まさにこの眺めのために、手巻きを選ぶコレクターも少なくありません。
自動巻きのメリット
- 手間いらず。毎日着けていれば、そのまま動き続けます。
- 安定したパワー。1日を通して少しずつ巻き足されるので、ゼンマイがよく巻かれた状態に保たれ、精度の面でも有利です。
- リューズ操作が少ない。リューズや巻真の摩耗が減り、ダイバーズでリューズをねじ込み忘れる機会も減ります。
- ローターそのもの。ローターが回るかすかな音や、裏蓋越しに見える装飾された錘を楽しむ人もたくさんいます。
デメリットは、部品が増えること、ケースが厚くなること。そして何本かを着け回していると、引き出しで休んでいる時計は止まってしまいます。そこで出番となるのがワインディングマシーンです。
手巻きのメリット
- 巻く儀式。毎日の巻き上げは、時計と触れ合うささやかで心地よいひとときです。コハゼがカチカチと噛む感触が、ひとつひとつ指に伝わります。
- 薄さとエレガンス。最も美しいドレスウォッチは、たいてい手巻きです。
- シンプルさ。整備する部品が少なくて済みます。
- 眺め。裏蓋の向こうを遮るものがありません。
デメリットは明らかです。巻き忘れれば止まります。けれど多くのオーナーにとって、それは欠点ではなく、むしろ魅力そのもの。手巻き時計が動き続けるのは、あなたが世話をしているからにほかなりません。
パワーリザーブはどう違う?
どちらのタイプも、フルに巻き上げた状態でたいてい38〜50時間ほど動きます。手巻きには8日間動くものもあります。自動巻きも、着けずに置いておけば、手巻きと同じ時間で止まります。文字盤のパワーリザーブインジケーターがあれば、残量がひと目でわかります。詳しくはパワーリザーブの解説をどうぞ。
価格とメンテナンスは?
価格は、巻き上げ方式よりも、ブランド、仕上げ、素材によってはるかに大きく変わります。ですから、どちらにもお買い得な1本が見つかります。とはいえ、シンプルな手巻きムーブメントは同クラスの自動巻きより部品が少なく、そのぶんオーバーホールがいくらか簡単になることもあります。どちらのタイプも、メーカーの推奨と時計の調子に応じて、5〜10年ごとに分解洗浄と注油をしてあげるのが理想です。
どんな人にどちらが向いているか
- 毎日着ける、初めての機械式時計:自動巻き。いちばん入りやすい入口です。
- 特別な日のドレスウォッチ:手巻き。薄くて上品。着けるときに巻けば十分です。
- メカニズムが好き:シースルーバックの手巻き。
- 何本かを着け回す:どちらでも。ただしワインディングマシーンを用意するか、ときどきの時刻合わせは受け入れましょう。
- デスクワーク中心であまり動かない:自動巻きは十分に巻き上がらないことがあります。手で巻き足せば解決します。
Mecha Watchで両方試す
どちらが好みかを知るいちばんの近道は、それぞれと1週間ずつ暮らしてみることです。Mecha Watchなら、どちらのムーブメントでも時計を作れます。
- クラシック手巻き — 18,000振動/時、パワーリザーブ40時間。リューズをスワイプすると、ひと刻みごとにカチッという触覚が伝わります。
- デイリー自動巻き — 28,800振動/時、42時間。本物を着けているときと同じように歩数で巻き上がり、iPhoneを動かすとローターが振れます。
- ヴィンテージロービートと8日巻き手巻き — どちらも手巻きで、48時間と8日間。一度きりのAtelierアンロックで使えます。
Apple WatchではDigital Crownで巻き上げ、自動巻きは手首の動きで巻き上がります。どちらのタイプも、長く放っておけば止まります。Mecha Watchで時計を作って、自分がどんなオーナーなのか確かめてみてください。
よくある質問
自動巻きと手巻き、どっちがいいですか?
優劣ではなく、性格の違いです。自動巻きは毎日着けるのに便利。手巻きは薄くてシンプルで、巻く楽しみがあります。
自動巻きの時計も巻く必要がありますか?
毎日着けていれば必要ありません。止まっていたり、しばらく外していたりした場合は、着ける前にリューズを20〜30回巻いて、十分なリザーブを持たせてから使いはじめましょう。
手巻き時計は巻きすぎると壊れますか?
巻きすぎにはなりません。ゼンマイを巻き切ると、リューズがはっきりとした手応えで止まります。そこでやめて、無理に回さないでください。
手巻き時計はどのくらいの頻度で巻けばいいですか?
1日1回、だいたい同じ時刻に巻くのが理想です。手巻き時計の多くはパワーリザーブが40時間前後なので、毎日巻けば余裕をもって動き続けます。
自動巻きの時計が夜のうちに止まるのはなぜですか?
着けている時間が短いと、ローターがゼンマイを巻き切れないことがあります。朝にリューズを数回巻くか、ワインディングマシーンを使えば解決します。