機械式時計の時刻の合わせ方
機械式時計の時刻、日付、GMT針を正しく合わせる方法。リューズのポジション、ハック機能、午後9時〜午前3時の日付変更禁止時間帯、秒単位の合わせ方まで。
このガイドの内容
機械式時計の時刻合わせは、リューズを引いて回すだけの簡単な作業に見えます。けれども、ちょっとした習慣がいくつかあるかどうかで、秒まで合った時計になるか、日付ディスクを傷めて修理店行きになるかが分かれます。時刻、日付、GMTの正しい合わせ方を見ていきましょう。
リューズのポジションを知る
リューズは、ムーブメント内部の巻真につながっています。引き出すときに「カチッ」と1段進むごとに、回したときの働きが変わります。
| ポジション | リューズの状態 | 回すとどうなるか |
|---|---|---|
| 0 | 押し込んだ状態(ねじ込み式リューズなら、ねじ込みを解いた状態) | ゼンマイを巻き上げる |
| 1 | 1段引いた状態 | 日付を早送りする(時計によってはGMT針) |
| 2 | いっぱいまで引いた状態 | 時針と分針を合わせる |
日付のない時計は、たいてい巻き上げと時刻合わせの2ポジションだけです。ねじ込み式リューズの場合は、先にねじ込みを解いてください(ぽんと飛び出すまで手前に回します)。終わったら、忘れずにねじ込み直します。防水性はそこにかかっています。
ステップ1:まず巻き上げる
時計が止まっているなら、合わせる前に巻き上げましょう。止まった時計を合わせてから巻くと、動き出すまでに数秒遅れることがあります。手巻き時計は、手応えを感じるまで。自動巻きは20〜40回。詳しくは機械式時計の巻き方をご覧ください。
ステップ2:日付を合わせる(安全に)
時計を傷めてしまうのは、このステップです。だから、時刻合わせより先に済ませます。
機械式時計の日付ディスクは、ほとんどの場合、午前0時に一瞬で切り替わるわけではありません。日付機構はその数時間前から噛み合いはじめ、爪がゆっくりと日付ディスクを押していきます。たいていは午後9時から午前3時ごろです。その爪が噛み合っている最中に日付の早送りを使うと、歯を曲げたり折ったりしかねません。この時間帯は、日付変更禁止時間帯と呼ばれます。
安全な手順は次のとおりです。
- リューズをポジション2(時刻合わせ)まで引きます。
- 針を6時30分あたりに動かします。禁止時間帯から十分に離れた位置です。
- リューズをポジション1に戻し、日付を早送りして前日の日付に合わせます。
- ふたたびポジション2まで引き、針を進めて午前0時を通過させます。日付がカチッと今日に切り替わります。
- そのまま正しい時刻まで進めます。これで午前と午後も合っています。
最後の点は大切です。日付が正午に変わるなら、時計が12時間ずれています。針を進めて午前0時を通過させれば、それを防げます。
デイデイトの時計も同じ要領ですが、曜日は早送りの回転方向が別になっていることがよくあります。取扱説明書を確認しましょう。すべてのムーブメントに禁止時間帯があるわけではなく、保護機構を備えた現代のものもあります。それでも、この手順を守って損をすることはありません。
ステップ3:時刻を合わせる(秒まで)
現代の機械式時計のほとんどは、ハック機能(秒針停止機能)を備えています。リューズを時刻合わせの位置まで引くと、テンプが止まり、秒針も止まります。これで、時計をぴったり合わせられます。
- 秒針が12時位置に来たところで、リューズをポジション2まで引きます。秒針がそこで止まります。
- 分針を正しい時刻より1、2分先まで進めてから、ちょうどの分まで戻します。こうして合わせると歯車の遊び(バックラッシュ)が詰まり、分針がインデックスにぴたりと重なります。
- 信頼できる時刻の基準、たとえばスマートフォンの時計や標準時を表示するウェブサイトを見ながら、ちょうど00秒になった瞬間にリューズを押し込みます。
ハック機能がない時計(ヴィンテージの多くと、手頃なムーブメントの一部)でも、かなり近づけられます。分を合わせておき、秒針と基準の時計がそろった瞬間にリューズを押し込みます。分針を逆方向にそっと回して、ハック機能のない秒針を止めるオーナーもいます。ムーブメントによって効いたり効かなかったりする裏技なので、自分の時計をよく知っている場合にだけ試してください。
ステップ4:GMT針を合わせる
GMTウォッチには、24時間で1周して第2のタイムゾーンを示す針がもう1本あります。合わせ方は、ムーブメントのタイプによって異なります。
- 「トラベラー」GMT — 主時針が、1時間刻みで単独で動きます(たいていはリューズのポジション1)。通常の針と一緒にGMT針を自宅の時刻に合わせておき、旅先では時針だけを現地時刻に送ります。
- 「オフィス」GMT、または「コーラー」GMT — 単独で動くのはGMT針のほうです。通常の針を現地時刻に合わせ、GMT針を第2のタイムゾーンに送ります。
どちらのタイプでも、24時間針はベゼルか文字盤の24時間目盛りを指すので、もう一方のタイムゾーンが昼か夜かがわかります。
ステップ5:押し込んで確認する
リューズをポジション0まで押し戻します。ねじ込み式リューズなら、軽く押しながら奥へ向かって回し、しっかりねじ込みます。秒針が動いていることを確認したら、完了です。
よくある失敗
- 午後9時から午前3時の間に、日付を早送りする。
- 針を逆回しにして午前0時をまたぐ。耐えられるムーブメントも多いのですが、ものによっては傷めます。進める方向がつねに安全です。
- ねじ込み式リューズをねじ込まないままにする。
- 12時間ずれた状態で合わせる。日付が正午に変わってしまいます。針を進めて午前0時を通過させれば直ります。
- 腕に着けたまま合わせる。巻真に横方向の力がかかります。
Mecha Watchで時刻を合わせる
Mecha Watchでは、本物の時計と同じやり方で時刻を合わせます。リューズを長押しして引き出すと、ハック機能と同じように秒針が止まります。あとは文字盤の上をドラッグして、針を動かします。
とはいえ、ほとんどの場合、その必要はありません。止まった時計を巻き上げて動かすと、針はすっと正しい時刻まで進みます。けれどもこだわりモードをオンにすると、アプリは本物と同じように振る舞います。止まったあとに再び動き出した時計は、リューズを引いて自分で合わせるまで、時刻がずれたままになります。GMTコンプリケーションを追加している場合、24時間針はUTCを示します。
Mecha Watchは、英語では「make a watch(時計を作る)」と聞こえます。こだわりモードは、作った時計を本物らしく感じさせるための機能です。
よくある質問
時計の日付を変えてはいけない時間帯は?
おおよそ午後9時から午前3時の間は、日付の早送りを避けてください。多くのムーブメントでは、この時間帯に日付の切り替え機構が噛み合っていて、無理に日付を動かすと傷めることがあります。
ハック機能とは何ですか?
時刻を合わせるためにリューズを引き出すと秒針が止まる機能です。時計を秒単位で正確に合わせられます。
機械式時計の針は逆回ししても大丈夫ですか?
現代のムーブメントの多くは耐えられますが、針は進める方向に回すのがつねに安全な習慣です。日付つきの時計で午前0時に近いときは、とくにそうです。
時計の日付が昼の12時に変わるのはなぜですか?
時計が12時間ずれて合わせられています。リューズを時刻合わせの位置まで引き、針を12時間進めてください。
自動巻き時計の日付はどうやって合わせますか?
針を6時30分あたりに動かし、リューズを1段目まで引いて前日の日付に早送りします。それから針を進めて午前0時を通過させ、正しい時刻まで合わせます。