機械式時計の巻き方
何回巻くのか、どのくらいの頻度で巻くのか、巻きすぎは起こるのか。手巻きと自動巻きの時計を安全に巻き上げる方法と、ワインディングマシーンが役立つ場面を解説します。
このガイドの内容
機械式時計の巻き上げにかかる時間は、30秒ほど。時計を持つ人だけのささやかな楽しみのひとつです。指の下でコハゼがカチカチと鳴り、テンプが目を覚ます音が聞こえ、秒針が動きはじめます。正しく行えば、まったく安全です。そして、間違えるほうが難しい作業でもあります。
手巻きと自動巻き、それぞれの正しい巻き方を見ていきましょう。
始める前に:腕から外す
腕に着けたまま巻くと、リューズと巻真に横方向の力がかかります。何年も続けると、巻真が曲がったり、リューズのパイプが摩耗したりすることがあります。時計を外し、片手でケースを持ち、もう一方の手の親指と人差し指でリューズを回しましょう。このほうが、回数も数えやすくなります。
ステップ1:巻き上げのポジションを確認する
ほとんどのリューズには、2つか3つのポジションがあります。
- ポジション0(押し込んだ状態):巻き上げ。
- ポジション1(1段引いた状態)(日付つきの時計の場合):日付の早送り。
- ポジション2(いっぱいまで引いた状態):時刻合わせ。
巻き上げは、リューズを完全に押し込んだ状態で行います。ダイバーズウォッチに多いねじ込み式リューズの場合は、まず手前に(リューズを正面から見て反時計回りに)回し、軽く飛び出すまでねじ込みを解きます。飛び出したその位置が、巻き上げのポジションです。終わったら、ねじ込み直してください。
ステップ2:リューズを時計回りに回す
リューズを奥へ向かって回します。リューズを右にして文字盤を見たときの時計回りです。軽く均一なカチカチという感触が伝わります。これは、ゼンマイがほどけ戻らないように止めているコハゼの感触です。
逆方向に回しても、たいていは空回りするだけです。それで正常です。短く行ったり来たりさせながら巻いて構いません。前へ回して巻き、後ろへ戻して指の位置を直します。
ステップ3:何回巻く?
| 時計 | 止まった状態から | 毎日の巻き足し |
|---|---|---|
| 手巻き(リザーブ約40時間) | 30〜40回。手応えを感じるまで | 手応えを感じるまで巻く |
| 自動巻き(リザーブ約40時間) | 動き出させるのに20〜40回 | 毎日着けていれば、たいてい不要 |
| ロングパワーリザーブ(8日巻きなど) | ずっと多く、100回前後のことも | 週に1回 |
ムーブメントによって違うので、取扱説明書があれば確認してください。手巻き時計の基本ルールはシンプルです。止まるまで巻く。
ゼンマイは巻きすぎると壊れる?
いちばんよくある心配ですが、答えはほぼいつも「いいえ」です。
手巻き時計では、ゼンマイの外端が固定されています。巻き切ると、リューズはそれ以上回らなくなります。軽いカチカチから、はっきりした抵抗へと変わるのがわかります。それがやめどきの合図です。そこから先へ無理に回さないでください。ゼンマイを切るのは巻くことではなく、無理に力をかけることです。
自動巻きでは、ゼンマイはスリッピングアタッチメントにつながっていて、巻き切ると滑るようになっています。はっきりした巻き止まりを感じることはなく、巻きすぎも起こりません。それ以上エネルギーが足されなくなるだけです。
「巻きすぎた時計」として修理に持ち込まれるものは、ほとんどの場合、別の理由で止まっています。油の劣化、磁気帯び、あるいは部品の破損です。
巻く頻度
1日1回、同じ時刻に。朝が理想的です。ゼンマイがいっぱいの状態で時計を着けることになり、ゼンマイがいっぱいのときに精度はいちばん安定します。一般的な手巻き時計は40時間ほど動くので、毎日巻けば十分な余裕が残ります。もっと長いリザーブについては、パワーリザーブの解説をご覧ください。
文字盤にパワーリザーブインジケーターがある時計なら、残りが少なく見えたときに巻けば十分です。
自動巻き時計の巻き方
自動巻きは、腕の動きに合わせてローターがひとりでに巻き上げます。ただし、止まった状態から使えるだけのリザーブを蓄えるには、手首をかなり動かす必要があります。そこで、次のようにします。
- リューズを20〜40回巻きます(手巻き機能があれば。ほとんどの時計にあります)。
- 時刻を合わせます。
- 着けます。ふだんの動きが、巻き上げた状態を保ってくれます。
自動巻きを振って動かすこともできますが、得られるパワーはごくわずかです。リューズを回すほうが、時計にやさしく、早く済みます。1日のほとんどをデスクで過ごすなら、ときどき手で巻き足すとよいでしょう。
ワインディングマシーンは必要?
ワインディングマシーン(ウォッチワインダー)は、着けていない間も自動巻きの時計を回転させて動かし続ける小さな箱です。役立つのは、次のような場合です。
- 自動巻きを何本か着け回していて、そのたびに合わせ直したくない。
- ムーンフェイズや永久カレンダーのように、合わせるのが面倒なコンプリケーションを備えた時計がある。
時計の健康のために必要なものではありません。機械式時計を止めておいても、害はありません。また、手巻き時計には使えません。
巻き上げの感触
手巻き時計を空の状態から初めて巻くときは、感触に意識を向けてみてください。最初の数回転は軽く、するすると回ります。ゼンマイが締まるにつれて、カチッというひと刻みごとに少しずつ力が要るようになり、終わり近くでは手応えが固くなります。そして、止まります。1週間も毎日巻いていれば、数えなくても自分の時計のリズムがわかるようになります。
巻き上げでよくある失敗
- 腕に着けたまま巻く。巻真に横方向の力がかかります。
- 手巻き時計で、巻き止まりを越えて無理に回す。
- ダイバーズで、リューズをねじ込み直すのを忘れる。防水性はそこにかかっています。
- 違うポジションで巻く。時刻合わせのポジションでは、巻き上がらずに針が動いてしまいます。
- 夜遅くに日付を変える。機械式時計の時刻の合わせ方をご覧ください。
Mecha Watchで巻き上げを練習する
Mecha Watchは、この儀式を中心に作られています。時計を作り、そして巻き上げることで動かし続けます。
- iPhoneでは、リューズを上にスワイプします。コハゼのカチッという刻みがひとつずつ触覚で伝わり、1回転で12回。ゼンマイが締まるにつれて、ひと刻みごとに少しずつ力が要るようになり、巻き切るとリューズが止まります。
- Apple Watchでは、Digital Crownを回します。巻き上がるのは一方向だけ。本物と同じです。
- 自動巻きは、歩数で巻き上がります。1,000歩につき約3時間ぶんのリザーブです。手首の動きでも巻き上がります。
クラシック手巻きをフルに巻き上げるには、リューズ40回転。8日巻き手巻きは110回転です。放っておけば時計は止まります。お好みで、止まる約2時間前にリマインダーでお知らせすることもできます。Mecha Watchは、英語では「make a watch(時計を作る)」と聞こえます。けれども、このアプリが本当に育てるのは、時計を巻き続ける習慣です。
よくある質問
時計のリューズはどちら向きに巻きますか?
時計回りです。リューズを右にして文字盤を自分に向けたとき、リューズを奥へ向かって回します。逆方向は、たいてい空回りします。
リューズは何回巻けばいいですか?
止まっている手巻き時計なら、たいてい30〜40回。はっきりした手応えを感じるまでです。止まっている自動巻きなら、20〜40回で十分に動き出します。
機械式時計は巻きすぎると壊れますか?
壊れません。手巻き時計は巻き切るとはっきり止まり、自動巻きにはスリッピングアタッチメントがあります。手巻きのリューズを、巻き止まりを越えて無理に回さないことだけ気をつけてください。
機械式時計を止めたままにするのは良くないですか?
いいえ。止まるまで放っておいても害はありません。もう一度巻いて、合わせ直す必要があるだけです。
時計は腕に着けたまま巻いてもいいですか?
外したほうがよいでしょう。着けたまま巻くと、リューズと巻真に横方向の力がかかります。