ムーンフェイズ:仕組みと合わせ方
ムーンフェイズが月の満ち欠けを追う仕組み、定番の59歯ディスクが数年で1日ずれる理由、そしてムーンフェイズの合わせ方をわかりやすく解説します。
このガイドの内容
時計にできるあらゆることの中で、月の満ち欠けを表示する機能は、いちばん実用性に乏しく、そしておそらくいちばん愛されています。小さな金色の月が、星空の窓をゆっくり横切り、ひと月かけて満ちては欠けていきます。必要なものではありません。けれども、一度持ってしまうと、何もない文字盤が少しさびしく感じられるようになります。
ここでは、ムーンフェイズの仕組み、精度、合わせ方を紹介します。ムーンフェイズのある時計を作りたいなら、その前に知っておきたいことのすべてです。
ムーンフェイズが示すもの
月は、新月(見えない状態)から満月へ、そしてまた新月へと、1朔望月で一巡します。長さは約29.53日(平均で29日12時間44分)です。ムーンフェイズは、いまその周期のどこにいるのかを示します。三日月、半月、ふくらんだ月、満月を、空に見えるのと同じ形で表示します。
ムーンフェイズの仕組み
文字盤の裏には、濃紺の地に2つの月を向かい合わせに描いたディスクがあります。その上に、両脇に丸い「こぶ」が2つある小窓が開いています。ディスクが回ると、月が一方のこぶの陰から昇り、窓いっぱいに広がり、やがてもう一方のこぶの陰へ滑り込んでいきます。
- 月が窓の中央にあれば、満月です。
- 月が見えなければ、新月です。
- その間は、こぶが月の一部を隠し、三日月や半月を表します。
伝統的なディスクの歯は59枚。1日に1回、日付車か筒車についた爪が、ディスクを1歯ぶん送ります。ディスクには月が2つあるので、1回転は月の満ち欠け2周期分、つまり59日。月1つあたり29.5日です。
ムーンフェイズの精度
59歯のディスクは、月の満ち欠けの周期をちょうど29.5日と見なしています。実際は約29.5306日で、44分ほど長いのです。このわずかな差が積み重なって、およそ2年8か月ごとに丸1日の誤差になります。ほとんどのオーナーにとっては、数年に一度、コレクターをそっと押せば済む話です。
高精度のムーンフェイズは、より細かい歯車比を使います。たとえば、中間車を介して135歯のディスクを動かし、実際の朔望月にずっと近づけます。優れたものは、約122年で1日の誤差。とりわけ野心的な設計になると、1,000年以上で1日とうたいます。時計師が腕前を見せるのに好んで使う題材です。
| タイプ | 想定する月の周期 | 1日ずれるまでの期間 |
|---|---|---|
| 伝統的な59歯 | 29.5日 | 約2.7年 |
| 135歯の「高精度」 | ≈ 29.5306日 | 約122年 |
| 天文表示(特殊なもの) | さらに近い | 数百年から数千年 |
ムーンフェイズの合わせ方
時計によって違うので取扱説明書を確認してほしいのですが、ほとんどは同じ手順です。
- 直近の満月の日付を調べる。月齢カレンダーや天気アプリでわかります。
- 窓のちょうど中央に月が来るまで、ディスクを進める。これが「満月」です。ほとんどの時計は、ケース側面のくぼんだ小さなプッシャーを、専用のコレクター(調整ピン)か爪楊枝で押します(尖った金属は絶対に使わないでください)。リューズのポジションで操作する時計もあります。
- その満月から経った日数ぶん、1日につき1回押す。満月が9日前なら、コレクターを9回押します。
- 時刻を確認する。ムーンフェイズの多くは、午前0時ごろに進みます。日付と同じく、時計のカレンダー機構の歯車が噛み合っている間(たいていは夜遅くから早朝)は、取扱説明書に安全だと書かれていないかぎり、コレクターの使用を避けてください。
時計がしばらく止まっていた場合は、日付と時刻に加えて、ムーンフェイズも合わせ直す必要があります。詳しくは機械式時計の時刻の合わせ方をどうぞ。
文字盤のどこにムーンフェイズを置くか
伝統的に、ムーンフェイズは6時位置に置かれます。12時位置のブランド名と釣り合いがとれるからです。ここはスモールセコンドのサブダイヤルの定位置でもあるので、この2つが同じ文字盤に並ぶことはめったにありません。月を12時位置に置く時計や、大きめのサブダイヤルで日付と組み合わせる時計もあります。
ムーンフェイズがいちばん映えるのは、金色の月と星が文字盤の色に溶け込む濃紺の文字盤と、ドレッシーなケースです。深いブルーのサンバーストか、マザーオブパールの文字盤が王道の組み合わせ。文字盤の仕上げをご覧ください。
ムーンフェイズの歴史
月相表示は、腕時計より何世紀も前に、天文時計に登場しました。夜の旅、潮の満ち引き、農作業にとって、月の満ち欠けが大事だった時代です。18世紀には懐中時計に、20世紀には腕時計に取り入れられました。今日では、ほとんど純粋に美しさのためのものです。機械式時計は、ゼンマイで動く小さな天空の模型なのだと、思い出させてくれます。
Mecha Watchでムーンフェイズを追加する

Mecha Watchでは、自分のデザインの6時位置にムーンフェイズを追加できます。アプリは59歯による近似ではなく、朔望月の長さと既知の新月をもとに、実際の月相を天文学的に計算します。だから、今夜の空と一致します。(本物の文字盤と同じように、スモールセコンドのサブダイヤルと6時位置を共有することはできません。)ムーンフェイズは、一度きりのMecha Atelierアンロックに含まれています。
ミッドナイトブルーのサンバースト文字盤、ゴールドのリーフ針、ジュエリーケースと組み合わせれば、満月の下で眺めたくなる時計の完成です。Mecha Watchで時計を作り、あなただけの1本にしてください。
よくある質問
ムーンフェイズの時計はどういう仕組みですか?
2つの月を描いたディスクが、文字盤の小窓の奥で回っています。毎日1歯ずつ進み、窓の丸い縁が月の一部を隠して、月相を表します。伝統的なディスクの歯は59枚で、月の満ち欠け2周期で1回転します。
ムーンフェイズの精度はどのくらいですか?
標準的な59歯のムーンフェイズは、約2年8か月で1日ほどずれます。より細かい歯車比を使った高精度タイプは、約122年、あるいはそれ以上で1日の誤差です。
ムーンフェイズはどうやって合わせますか?
月が窓の中央に来るまで(満月)ディスクを進め、直近の満月から経った日数ぶん、1日につき1回コレクターを押します。カレンダーが切り替わっている最中、たいていは夜遅くから早朝の調整は避けてください。
ムーンフェイズに月が2つあるのはなぜですか?
ディスクが、月の満ち欠け2周期で1回転できるようにするためです。月が2つあれば、どちらかが必ず見えているか、まもなく現れるかの状態になり、歯車の構成もシンプルになります。
時計が止まると、ムーンフェイズはどうなりますか?
一緒に止まります。時計を再び動かすときは、時刻と日付に加えて、ムーンフェイズも合わせ直す必要があります。