腕時計を自作する:キット、MOD、はじめの一歩
キットで腕時計を自作したい初心者のための入門ガイド。買うべきパーツ、ムーブメントと文字盤と針の合わせ方、必要な工具、組み立て手順、よくある失敗まで。
キットから時計を組み立てるのは、本当に自分で作ったものを腕に着けるための、いちばん身近な方法です。部品を削り出す必要はありません。パーツを選び、組み合わせ、裏蓋を閉じれば、ほかの誰も持っていない時計の完成です。この趣味はMOD(モッド)やカスタムと呼ばれ、専門のパーツショップやフォーラム、適合表までそろった大きなコミュニティに育っています。
このガイドでは、何を買うか、どの工具が必要か、組み立てはどう進むか、そしてほとんどの人が一度はやってしまう失敗を取り上げます。時計の見た目をまだ決めていないなら、まず時計をデザインするから始めてください。お金の節約になります。
キット、MOD、パーツ組み。どれを選ぶ?
- フルキット。ケース、文字盤、針、ムーブメント、風防、ストラップを、適合が確認された組み合わせでショップがセットにしたもの。はじめの一歩に最適です。
- MOD。既存の時計をベースにパーツを交換します。交換するのはたいてい、文字盤、針、ベゼルインサート、風防。パーツは安く済みますが、適合を調べる宿題が増えます。
- パーツ組み。すべての部品を別々のショップから個別に買いそろえます。自由度は最大、合わないリスクも最大です。
最初の1本なら、フルキットか、定番ムーブメントをベースにしたMODがいちばん安全です。
まずムーブメントを決める
キットの世界では、すべてがムーブメントを中心に回っています。文字盤の足の位置はムーブメントごとに決まっていて、針の穴径もムーブメントごと、ケースの中枠や巻真の高さもムーブメントごとです。ですから、まずムーブメントを選び、それ「用」のパーツを買うことになります。
初心者にいちばん選ばれているのは、NH35系の自動巻きです。丈夫で安く、どこでも手に入る日本製の自動巻きムーブメントで、ハック機能(秒針停止)と手巻き機能を備えています。人気があるぶん、対応するケース、文字盤、針が豊富にそろっています。ほかには、ドレス系に向く薄型の自動巻きや、巻く儀式を愛する人のための手巻きムーブメントもよく使われます。
| ムーブメントの種類 | 向いている用途 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| NH35系の自動巻き | 最初の1本、ダイバーズ、フィールドウォッチ | 対応パーツが非常に豊富。手巻きより厚い。3時位置の日付が標準 |
| 薄型の自動巻き | ドレスウォッチ | 対応するケースと文字盤が少なめ。たいてい価格は高め |
| 手巻き | シースルーバック、ヴィンテージの雰囲気 | 毎日巻く必要がある。ケースを薄くできる |
どちらの巻き上げ方式にするか迷ったら、自動巻きと手巻きの違いを読んでみてください。
買うもの
- ケース — 選んだムーブメント用で、合ったリューズと巻真が付くもの。記載されている文字盤径を確認しましょう。
- 文字盤 — 直径が合い、足の位置がムーブメントに合っていて、日付窓が正しい位置にあるもの(または日付窓なし)。
- 針 — ムーブメントに合った穴径で、文字盤のサイズに見合う長さのもの。
- 風防とパッキン — ケースに付属していることが多いです。
- ベゼルとインサート — ダイバーズやGMT風の時計を組む場合に。
- ストラップまたはブレスレット — ラグ幅に合ったもの。
費用はショップや品質によって大きく変わりますが、信頼できる自動巻きを使った初心者向けの一式は、工具を別にして、米ドルで数百ドルの前半に収まることが多いようです。針は予備を1セット見込んでおきましょう。いちばん犠牲になりやすいのが、曲げてしまった針です。
必要な工具
- 針押さえ(剣押さえ)と針抜き(剣抜き)
- ムーブメントホルダー(機械台)
- 先の細いピンセット(非磁性の真鍮製や樹脂製のほうが文字盤にやさしい)
- ケースに応じて、こじ開けまたは裏蓋オープナー
- ブロワーと、指サックまたは手袋
- ルーペ(3〜5倍)
- ストラップ用のバネ棒外し
- あれば便利:風防圧入器、ダイヤルドット(文字盤固定シール)、文字盤足の補修パッド
清潔で明るく、片づいた机は、工具と同じくらい大切です。敵はホコリ。風防の内側にひと粒でも入れば、何年も気になり続けます。
組み立ての流れ
- 準備する。手を洗い、机を片づけ、清潔なマットの上にパーツを並べます。
- 巻真を抜く。ムーブメントのオシドリ(解除レバー)を押しながら、リューズと巻真を引き抜きます。
- 文字盤を取り付ける。文字盤の足をムーブメントの穴に差し込みます(足のない文字盤にはダイヤルドットを使います)。日付窓の位置が合っているか確認します。
- 針を取り付ける。日付がちょうど切り替わった午前0時の状態で、時針を12時位置に押し込み、続いて分針を12時位置に、最後に秒針を取り付けます。針は文字盤と平行に保ち、針どうしの隙間も確かめます。
- ケースに収める。ムーブメントと中枠をケースに入れ、巻真とリューズを差し戻して、時刻が合わせられること、日付が切り替わることを確認します。
- 閉じる。ホコリを吹き飛ばし、ルーペで文字盤を点検し、パッキンを収めて裏蓋を閉じます。
- テストする。お祝いの前に、1日か2日着けてみましょう。針どうしが引っかからないか、文字盤が緩んでいないかを見ます。
作業しながら中で何が起きているのかを知りたくなったら、機械式時計の仕組みと時計の各部名称のガイドをどうぞ。
初心者がやりがちな失敗
- デザインが固まる前にパーツを買う。気に入った文字盤が、買っておいた針に合わないこともあります。デザインが先、買い物はあとです。
- 文字盤の足や日付の位置が合わない。使うムーブメントの型番とリューズ位置に適合するか、念入りに確かめましょう。
- 針の位置がずれる。日付が切り替わる瞬間、ぴったり午前0時に針を取り付けてください。そうしないと、日付がおかしな時刻に変わってしまいます。
- 力を入れすぎる。針に必要なのは、やさしく均等な力だけです。強く押すと、ムーブメントのホゾを傷めます。
- 指紋とホコリ。文字盤は縁を持って扱い、閉じる前にブロワーをかけます。
- 時計の磁気帯び。磁気を帯びた工具は近づけないこと。安価な脱磁器を用意しておくのも手です。
買う前に、まず試作する
キット製作で本当に高くつくのは、パーツそのものではなく、間違ったパーツを買ってしまうことです。ブルーのサンバースト文字盤は、ポリッシュ仕上げのスチールケースに収まると、商品写真とは違って見えます。パイロットウォッチで素敵だったシリンジ針が、ダイバーズではしっくりこないこともあります。
だから私たちは、Mecha WatchをiPhoneの中のデザイン用作業台として作りました。ケース、素材、ベゼル、文字盤のカラーと仕上げ、インデックス、針、ストラップ、ムーブメントを組み合わせ、お金を使う前に、リアルタイムの金属表現と光の中で仕上がりを確かめられます。納得がいったら、それがそのまま買い物リストの設計図になります。
しかもその間、あなたのデザインはただの絵ではありません。ムーブメント本来の振動数で時を刻みます。カチカチという触覚を感じながらリューズを巻き、自動巻きなら歩いて巻き上げ、裏返せば裏蓋越しにムーブメントが見えます。Mecha Watch。英語で早口に言えば、そのままmake a watch(時計を作ろう)という呼びかけです。まずはデジタルで、それから本物を。
よくある質問
キットで腕時計を自作するのは難しいですか?
根気のある初心者なら十分に取り組めます。ムーブメントを分解するわけではなく、文字盤と針を取り付けたムーブメントをケースに収める作業です。細かくて難しいのは、針を曲げずに取り付けることと、ホコリを入れないことです。
初めての自作時計には、どのムーブメントがおすすめですか?
いちばんよく選ばれているのはNH35系の自動巻きです。丈夫で手頃、対応するケース、文字盤、針も豊富にそろっています。
時計の自作キットはいくらくらいしますか?
価格はショップや品質によって変わりますが、初心者向けの一式は米ドルで数百ドルの前半に収まることが多く、これに基本の工具セットが加わります。
時計を組み立てるのに必要な工具は?
針押さえ、針抜き、ムーブメントホルダー、先の細いピンセット、裏蓋用の工具、ブロワー、ルーペ、バネ棒外し。指サックや手袋があると、文字盤をきれいに保てます。
パーツを買う前に時計をデザインできますか?
できますし、そうするべきです。Mecha Watchのようなアプリなら、ケース、文字盤、針、ストラップを組み合わせて試せるので、本当に欲しいパーツだけを買えます。